保食神(ウケモチノカミ)


神話では、天照大神月夜見尊に、葦原中国にいる保食神という神を見てくるよう命じた。月夜見尊が保食神の所へ行くと、保食神は、陸を向いて口から米飯を吐き出し、海を向いて口から魚を吐き出し、山を向いて口から獣を吐き出し、それらで月夜見尊をもてなした。

月夜見尊は「吐き出したものを食べさせるとは汚らわしい」と怒り、保食神を斬ってしまった。

それを聞いた天照大神は怒り、もう月夜見尊とは会いたくないと言った。

それで太陽と月は昼と夜とに別れて出るようになったのである。

天照大神が保食神の所に天熊人(アメノクマヒト)を遣すと、保食神は死んでいた。

保食神の屍体の頭から牛馬、額から粟、眉から蚕、目から稗、腹から稲、陰部から麦・大豆・小豆が生まれた。

天熊人がこれらを全て持ち帰ると、天照大神は喜び、民が生きてゆくために必要な食物だとしてこれらを田畑の種とした。


保食神はオオゲツヒメと同一神とされることもある。また、同じ食物神である宇迦之御魂神とも同一視され、宇迦之御魂神に代わって稲荷神社に祀られていることもある。

「うけもち」のうけは、食物の意味です。

食物神というだけでなく、「頭から牛馬が生まれた」ということからの神ともされる。